はじめに
「カキーン」 いい当たり。さすがライトのイチロー、スタートが早い。落下点へ真っ直ぐに走って、ゆうゆうと捕球。
こんな光景をよく目にします。さすがにプロ野球です。我々の草野球ではなかなかこうはいきません。遅いスタートで、ギリギリのランニングキャッチをしたりするものですから、かえってファインプレーに見えたりします。
ゴルフでも似たようなことが良くありますね。もちろん、スコアと歩いた距離。私などどういう訳か(まあ、理由ははっきりしているのですが)あの広いフェアウェーにはボールがなかなか転がらなくて、こっちの林からあっちの林へとウロウロしています。お陰で良く晴れた日にゴルフ場にでかけても、林の中ばかりでは日にも焼けず、相も変わらず歩きくたびれています。
ゴルフや野球の話を持ち出したのは他でもない、ここで書こうとしているIE(インダストリアル・エンジニアリング)について説明をしようと思ったからです。簡単に言うと、『IE』というのは『どうしたら、楽に、正確に、早くできるか』ということを学問の立場から研究したものなのです。
技術者の仕事振りについて、昔から『安正早楽(あん・じょう・そう・らく)』という言葉があります。安全に、正確に、早く、楽に、という風に仕事ができるようになることが最高の技術ということなのでしょう。先のゴルフや野球の例でも、うまい人はどう見てもラクをしています。歩く距離は短いし、時間も早いというわけです。どうすればラクができるか学問するなんて、おもしろい研究ですね。