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整備工場の『仕事を科学する』
3 できる男の工具箱

ごくフツーの工場で、ごくフツーのメカニックたちが、毎日どんなことに時間をかけているか、ワークサンプリングという方法を使って調べてみましたが、稼働分析のデータを見て驚きました。誰もが『工具の取り置き』だけで一日90分もかけているという結果が出たのです。すごいですね。遠くの共用工具置き場まで取りに行く場合の、歩いている時間を除いたとしても、およそ50分はただただ工具を取ったり、置いたりという単純作業の時間でした。まるで毎日、ボディビルをやっているようなものです。1・の鉄あれいを50分も続けて上げ下げすれば、すぐに飽きてしまうだろうし、あしたは筋肉痛でゴハンのハシを持つのもたえるはずです。毎日、これだけの時間、工具の取り置きをやっていながら気にならないのは、ボディビルのように続けてやっていないからです。でも、こんなふうに考えてみると、この『90分』は、<なんとかしなければ>と考え込んでしまうほどの時間です。

『魔法の虫めがね』がドライバー18本を発見!

ある工場の、あるメカニックのキャディを調査してみました。どこの家の台所にもある、あのワゴンのような形をした、工具を入れる"キャディ"です。
な、な、なんと工具が91本、そのうちドライバーが18本です。その他に部品の古いのが、88コも大切に入れてありました。それはもう、本当に一杯という感じです。太いの、細いの、長いの、短いの、そして曲がったの。いろんなドライバーが18本も揃えば(だれかのが紛れ込んだのか、同じものもたくさんありましたが・・・)壮観そのものです。いまにもあふれそうな、山盛りのキャディを調べてみて驚いてしまいました。

あるメカニックのキャディの中身  
図2 あるメカニックのキャディの中身

そんなキャディを使うメカニックの仕事ぶりを見ていると、必要な工具をその都度、工具の山の中から捜し出しています。それはもう、捜しまくっているという感じです。
「えーと、あのドライバーはどこかな?」
「あれ! ないぞ! あれ!」
「えーい、糞ったれ! どこだ!」
「おーい、だれかドライバーを貸してくれ」
 とうとう捜すのを諦めて、同僚に借りてしまいました。共用工具の置き場だけでなく、こんなところまで足をのばすのですから、メカニックの歩く距離もドンドン増えるはずです。

どの工具も使うものばっかり!

確かにキャディの中にある工具は使うものばかりです。18本ものドライバーも、いつかは(?)使うから入れてあります。いや、これまでに一度はベンリに使ったことがある工具だからこそ、キャディの片隅に大切にしまっているのです。
このためでしょうか。『腕の良いメカニックはたくさんの工具を揃えているに違いない』という神話が、いつのまにか生まれてきました。確かに、ドイツ製のすばらしい工具をたくさん持っている先輩もいます。いつもキチンと手入れをして、宝物のように大切に扱っています。若いメカニックがエンジンルームの奥の方に手を突っ込んで、ボルトを外そうと悪戦苦闘していると、先輩が「おい、どいてみろ!」と言いながら、柄(え)の曲がった短いラチェットレンチを使って、たちまち片付けてくれたこともありました。カッコイイですね。ホントに先輩が神様に見えてきますよね。その男らしさに痺(しび)れてしま
います。
でも、今度の調査で6か月点検では、たった4本の工具しか使いませんでした。12か月点検でも15本ぐらいなものです。車検整備では? ごく普通の修理作業では?と言った風に考えると、多くの整備作業ではそんなに多くない工具で十分に間に合うのです。実際に車検作業をやりながら、自分の使った工具の一つひとつにマーキングをしてみてください。きっと、あなたのキャディの中で20〜25コくらいの工具でおさまるでしょう。思い切って、その工具にはペンキを塗ったり、よく目立つテープを巻いてみませんか。これでもうキャディの中をひっくり返して、使いたい工具を捜しまくる必要はありません。すぐに見つかってくれます。これで『捜し』『選び』『どかし』がなくなり、ずいぶんと工具の取り置き時間が減るでしょう。あとはニブイ光を放つスナップオンのお気に入りが1〜2本あれば充分です。

これが、できる男のキャディ!

いかがでしょう。いつもはそんなに多くの工具を使わないのなら、エイッとばかり思いきってキャディの中身を減らしてみませんか。実際に整備作業をやりながら、自分の使った工具を記録して『よく使う工具ベスト10』をみんなで作ってみるのです。このベスト10の工具は<たびたび使っていますよ>という証拠ですから、キャディの2段目に、取り出しやすいレイアウトで置いておきます。もちろん、先程の、よく目立つペンキを塗っておくというのがこれです。
 つぎに、1か月間一度も使わなかった工具は、涙が出るほど別れが辛くても、キャディから取り出して、別の段ボールに詰め換えて封印をしておきます。これだけでもキャディの中はずいぶん減りますが、もっと少なくするために、Tレンチなど比較的使う回数が少なくて、嵩張(かさば)るものは、みんなベイの共用工具(あとで解説)として外に出してしまいます。これであなたの個人用工具がほぼ完成です。キャディの中は、点検・車検それに簡単な一般整備に使う工具だけになり、多くても40種類ぐらいにおさまるでしょう。そうそう、忘れてはいけないことがあります。ドンドン減らすだけでなく、これまで
高いといって、工場に一つぐらいしか置いていなかったタイミングライトは、個人工具としてキャディに入れてみることも良いかもしれません。

すっきりしたキャディ
キャディの見本はこちらから。
キャディ祭
これまでのキャディとすっきりしたキャディ
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くるまや しん兵衛 著
A5判 271頁 定価 1,890円(税込み)
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